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2011年 04月 20日
駅前ビルのリニューアル
午前中住宅のクライアントと内装材検討のため、六本木・青山のショールームを廻る。
最終目標のために施工中であっても、工程とコストを考えながら対話を重ね検討することは大事なことだと考えている。
クライアントと別れ川越へ。

先月竣工検査を終え引渡しを済ませた駅前ビルリニューアル。
検査当日は養生等が残っていたため今回改めて確認と撮影。
とはいえ立場上厳密な検査というよりは個人的なもの。

昨年夏にデザイン提案をさせて頂いていたが、コスト調整等で着工が遅れ今年に入ってから工事になった。
内装リニューアル工事は始まってしまえば早い。
タイトな工程の中で現場からの質疑対応にもスピードが要求される。

以前外装の改修は行っていたので、今回は共用部内装のリニューアルがメイン。

駅前ビルのリニューアル_b0227217_1454228.jpg照明器具:埋込型蛍光灯
天井  :岩綿吸音版
壁   :ビニルクロス
幅木  :ビニル幅木
床   :ビニル床タイル

駅前ビルのリニューアル_b0227217_14544845.jpg照明器具:LEDダウンライト
天井  :既存撤去の上GBR+ケイカル板(目透かし)化粧シート貼(一部折上)
壁   :下地補修の上EP2・ケイカル板(目透かし)化粧シート貼
幅木  :ビニル幅木・SUS複合幅木
床   :既存の上タイルカーペット模様張



エレベーター扉もホール壁同様化粧シートで仕上げた。
カゴ内部は新築で予算に余裕があれば特注製作品で仕上を色々検討することも可能だろうが、昨今の経済状況では中々難しい。大抵はメーカー仕様のサンプルから色やテクスチュアを選ぶ場合が多い。選ぶとは言ってもどれもあまり代わり映えしない。以前大阪北新地で飲食テナントビルを担当したことがありEVが2基あったが、その時は扉も壁もステンレスでヘアラインをベースにエッチングでグリッド模様を入れたデザインを採用した。メーカーの営業担当者がバブル以来久しぶりだと喜んでいた。
今回は改修なのでデザイン的なアプローチも異なる。
新築で引渡す際には、それがオフィスでもマンションでも学校でもEV内部床・壁に「保護マット」なるものが貼られている。いくつかの色のヴァリエーションもある。
「汚れやキズを防ぐために貼っておきます。必要なければ管理者さん側で外して下さって構いません。」ということで多分経験上の保身も含んだ慣習だと思うが。
そして、多くはそのまま外されることなく貼りっぱなし。

駅前ビルのリニューアル_b0227217_13382786.jpg駅前ビルのリニューアル_b0227217_13384311.jpg今回はそのような現状に疑問を持たれていたクライアントサイドの意向もありエレベーターウォールカバーリングシステムを採用した。
保護マット自体をデザインしてしまおうという考えで厚さ3㎜程度の不織布に画像を熱転写プリントしたものをカゴ内に貼る。画像は絵でも写真でも何でもOKとのこと。

駅前ビルのリニューアル_b0227217_13391290.jpg駅前ビルのリニューアル_b0227217_13392842.jpg広いとは言えないカゴ内を心地良い空間とするため、手を入れず再利用する既存天井のデザインを手がかりに、駅前立地のテナントオフィスという特徴を活かし、エレベーターホールのデザインと調和したエッジの効いたSimpleでCoolなデザインを目指した。
基本構成は壁面を50㎜角のグリッドで分割し、目線(FL+1,500)を基点に明色の正方形グリッドが上下へ減衰するデザインとし、エレベーターの垂直移動の方向性を躍動感とともにグラデーションで表現した。
汚れやすい足元と上部は暗色となるよう機能性にも配慮した。

このシステムは新築・改修を問わず、オフィスやマンションだけでなく、商業飲食ビルやアミューズメント施設などにも適し、現実的な解法だと考えている。
ただし、現状では上下方向に3分割となるため水平に2本ジョイントが入る。
今回は目線の明色の位置のジョイントがやや目立つ。今後の課題としたい。

by satoshi_suzuki-ao | 2011-04-20 23:33 | K駅前ビルリニューアル


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