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2011年 10月 12日
都税事務所の家屋調査
8月に竣工した住宅で都税事務所の家屋調査があった。
住宅を新築すると税務署からある書類が届くことがある。
いわゆる「お尋ね」というもので、これは税務署が住宅の取得資金の出所や名義を調査するためのもの。
新築住宅全てではないようだが、それなりの規模・仕様の場合「当たる」確率は高いようだ。
この住宅にも「お尋ね」書類は届いていたそうだ。

今回は税務署ではなく都税事務所の家屋調査。
クライアントに届いた書類を見せて頂くと、発送元は都税事務所の固定資産評価係で
「貴方が新築されました家屋につきまして、不動産取得税及び固定資産税の評価額を算定するため、家屋の内部、外部の建築資材、建築設備等を確認する調査を行わせて頂きたく、お願い申し上げます。」
とある。
「この調査は全新築家屋が対象です。」
とあり、拒否は出来ないようだ。登記を済ますと自動的に情報が都税事務所に行くようだ。

この住宅は規模こそ大きいもののローコスト建築だが、一見したところそれなりの豪邸に見えないこともない。
評価額は後々まで影響するため、パッと見の印象で高めに査定されると困るので、設計監理者としての自分と公認会計士が同席して調査を受けた。

約束の14時に調査担当者(女性2人)がやってきた。
事前に用意するよう言われていた書類を元に現地でまず書類調査があった。必要書類は下記
・建築確認申請書、確認済証、検査済証
・工事請負契約書(建売の場合は売買契約書)
・見積書等(内部・外部の仕上・設備等がわかるもの)
・床暖房を設置している場合は使用面積がわかるもの
・各階平面図(間取りのわかるもの)
上記は詳細調査のため「お借りすることもある」とのこと
また「調査時間短縮のため「各階平面図の写」を「ご提出下さい」とのこと。

二人は手分けをして契約書の見積明細書と図面の確認を始めた。
明細書は一枚一枚じっくりと見ていた。
図面確認は提出した図面で面積等を確認しながら、チェックシートのようなものに必要内容を書き込んでいた。
確認申請書添付の内部仕上表を細かく見ていた。
引き続き10分程室内の調査があった。間取りや仕上材料について図面と差異がないかどうかの確認のようだった。
その後、家屋にかかる税金について簡単な説明があり終了、トータルで1.5時間程度。

初めての経験であったが、今回の調査で感じたこと、分かったことなど
・評価は構造、規模等によりある程度の標準的な基準がある
・特殊な場合は明細書をもとに積上げて算定
・詳細を積上げて査定するか標準基準とするかは調査担当者が決めるが、積上げ査定にしてもらうことも可能
・積上げ査定と標準基準の査定の結果を比較してどちらか安い方を選ぶことは出来ない。
・積上げの場合も参考にするのは数量であって単価は関係ない(見ない)
・実際の建設費がどうであるかは査定には関係ない
※つまり設計者や施工者が努力してローコスト住宅を造ったとしても、評価額には反映されないということ
・床暖房は評価額UP要因
・天井埋込エアコンも評価額UP要因(対象面積で算定)
・積上げの場合、電動シャッターも評価額UP要因
・評価額の床面積は登記面積とは異なり、階段ペントハウス部分も加算(天井高さ1.4m以下は加算なし)
・評価額は3年毎に見直しがあり、物価情勢や償却等が考慮され補正される
・補正で評価額が下がればその値、上がる場合には以前の評価額のまま
・償却年数は木造25年、鉄骨造40年、RC造60年
・例えばRC造の場合60年後に評価額は0になるのではなく20年分を残した額だとのこと

60年後の評価額はいくらかは分からないが、丈夫で長持ちする建築を、と思い日々業務を行っているが、税金上はプラスではないようだ。
しかし、だからと言って20~30年で用を成さなくなる建築を創ることに加担はしたくない。

何か制度が間違っていないだろうか?

by satoshi_suzuki-ao | 2011-10-12 23:35 | Simple Box House


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