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2013年 03月 17日
中古マンションのスケルトンリフォーム
建築家登録している会社のブログに原稿を書いたので当ブログにも転載します。

「中古マンションのスケルトンリフォーム」

東京・吉祥寺で設計活動をしている鈴木賢建築設計事務所(SSAO/SATOSHI SUZUKI ARCHITECT OFFICE)代表の鈴木です。今回は「中古マンションのスケルトンリフォーム」について書かせて頂きます。

設計者とはいえ、まずは生活者として自身の生活を営む「場」が必要です。私は築35年の中古マンションを購入・スケルトンリフォームして自宅兼事務所として使っています。設計は自分でやりました。マンション内部を躯体だけ残して解体し、浴室やトイレ、キッチンも含めて一新することを「スケルトンリフォーム」と呼んでいます。スケルトンリフォーム事例は近年、特に都市部で着実に増えてきています。自分だけのオリジナルな空間で生活したいというこだわりや価格面で新築よりも割安感があるとの理由で流れに拍車がかかってきているように感じられます。自ら設計した空間で実際に生活していますが、設計者・生活者として利点や可能性を感じており、積極的にスケルトンリフォームを推進・紹介する立場をとっています。

「いえ」や「すまい」に関して世の中で色々と議論されていることがあります。例えば
①いえ・すまいは「買う」ものなの?/「建てる」ものなの?
②「いえ」ならやっぱり戸建でしょ/マンションって「いえ」なの?
③絶対新築じゃなきゃ/中古は何かイヤ

更に消費税UPの時期を間近に控える現在では
④「いえ」って今が買い時なの?/消費増税前後どっちがいいの?
といった内容もあるでしょう。

経済的に余裕のある人であれば上記の内容は「どうでもいい」ことでしょう。好きなように「買う」なり「建てる」なりすれば良いのですから。しかし私も含め多くの方々はそうではないと思われますので、設計者・生活者としてこれらの内容について私の考えを明らかにしてみます。

①②都市部では全世帯の20%程度がマンションに住んでいると言われています。東京に限れば25%程度、都心3区(中央・千代田・港)では50%がマンション住まいだと言われています。マンションの形態や区分所有という制度からも「建てる」という言葉には馴染まないかもしれませんが、マンションも「いえ」「すまい」のひとつだと考えています。高度経済成長期の「住宅すごろく」ではありませんが、誰もが横並びで「郊外の庭付き一戸建」を目指す必要はないですし、そんな時代でもありません。戸建住宅は当然「建てる」ものだと考えます。いわゆる「注文住宅」は何も特別な人のためのものではなく「ふつう」のひとも「建てるべき」ものだと思います。そのために私たちのような設計者が存在するのです。
③「新築絶対主義」の方がいることは否定しません。「誰かが使った家に住むなんて・・・」という意見がありますが、そもそも土地自体が昔から誰かが生活し使っていた訳で、現在私たちが生活している「場」は以前誰かが生活していた「場」だったのです。今あなたが生活している「場」は何世代か後には何の繋がりもない「誰か」が生活している可能性の方が高いでしょう。そう考えれば多少なりとも抵抗感は薄れませんか?
新築マンションや建売住宅の場合、その部屋や家に住む人が決まっていないため綿密なマーケティングをもとに購買層を想定し、その層が好むであろう(と思われる)間取りやテイストで作られています。当然その間取りやテイストが合わない人にとっては魅力的ではありません。また売主(デベロッパー)や施工者サイドの「売りやすさ」や「作りやすさ」も考慮して作られますので、「無難」で「クレームの少ない」「見栄えの良い」材料選択になることは否めません。「自然素材」を売りにしているデベロッパーでもない限り床材は合板フローリングあるいはラッピングされたシートフローリング、窓枠や巾木なども木材に似せたプリントシートでラッピングされた材料を使うところがほとんどです。
私は少なくとも直接手や足に触れる部分には自然素材を使いたいと考えています。自然素材は傷がついたり汚れたり扱いに手間がかかるかも知れませんが、竣工時が最も美しいピカピカな「まがいもの」とは違って、経年変化も含めて味のある材料ではないかと思うからです。私と同じような考えをお持ちの方々にとっては新築マンションや建売住宅といった「商品」は魅力的ではないでしょう。自分や家族の生活する「場」は誰かの押付けではなく自分たちの思い通りの「場」にしたいと考えるのではないでしょうか?その場合の有効な方法として「注文住宅」や「スケルトンリフォーム」があるのではないかというのが私の考えです。ただし、中古住宅やマンションを購入する際には注意が必要です。当然それなりの年数を経ていますので、構造体に損傷がないか、漏水や雨漏りの恐れがないかなど事前に確認する必要があります。可能であれば売主や仲介業者とは利害関係のない第三者の専門家に見て頂くのが良いでしょう。当事務所では中古住宅やマンション購入に際して内覧への同行や購入のアドバイスもさせて頂いております。

④に関してはマクロ的には意味のある議論かもしれませんが、個々人の状況やライフスタイル・ライフプランは違うので「建てたいときが建て時」というほかありません。消費税UPで支払いが増える金額を気にするあまり焦って進めて後悔するならば、じっくり時間をかけて自分が納得のいく選択をする方が良いのではないでしょうか?


私の自宅兼事務所のスケルトンリフォーム事例を紹介します。
自分や家族の生活の場を設計者と一緒に創り上げるスケルトンリフォームに興味を持って頂けたら嬉しいです。

リフォーム前の写真
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以前の入居者によってある程度のリフォームは行われていたようで、当時の資料によれば竣工当初の仕上は直床:カーペット敷込 壁・直天井:クロス貼とのことでした。

リフォーム後の写真
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訪問された方の多くは玄関に入ると古く地味な共用廊下とのギャップに驚くようです。右側の下足入の扉には鏡を貼って狭い空間を少しでも広く見せようとしました。正面はシナ合板製の扉(白色オイルペイント拭取仕上)にツインカーボ(旭硝子)を入れています。

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打合せスペースでもあるダイニングには自分でデザインしたカウンター収納や吊戸棚、雑誌架を造り付けました。仕上は木製建具と同じ白色オイルペイント拭取仕上としています。床はナラ無垢材、壁・天井は塗材(ヌリカラット)です。

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ダイニングと合わせて1室空間にしたリビング。ダイニングとともに以前から使っていたテーブルや椅子など手持ちの家具の居場所をつくるようにデザインしました。


本ブログでは省略させて頂いた内容もありますので興味のある方は私のHPも是非覗いてみて下さい。
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by satoshi_suzuki-ao | 2013-03-17 23:03 | 吉祥寺のSOHO